すべてが危険

発端

昨日、一昨日と晴天で比較的温暖だった稚内だが、今日から一気に冷えてきた。冷えたといってもマイナス2度に風速6メートルといった程度だが。
しかし少しだけ解けたものが凍ってしまったのだ。こうなると悲惨。簡単にいうと地面すべてがスケートリンクになってしまったのだ。実はスタッドレス磨き上げ現象以外でのここまでのツルツル度合いは初めてかもしれない。普段ならでこぼこや乾燥路面があったり圧雪の部分があるのだが、今回は違った。平面度が桁違いに高い。つまり凸凹がほとんどない文字通りスケートリンク場。しかも今日走った数十キロのほぼすべてがそうなので、いかに最新式のスタッドレスタイヤでも無理だ。FRの車は絶対車庫から出さないことをお勧めする。絶対事故るって。単独だったけれどもメルセデス・ベンツが交差点の角に左側面を沿うように止まっていたのを見た。多分コーナーを曲がろうとして曲がりきれず遠心力で4輪ドリフト状態になって横からぶつかっていったものと思うのだけれど、それくらい滑る。市道なんか20-30kmで精一杯だ。

まぁ最新技術を使用したスタッドレスタイヤですらツルンツルンに滑るのだから、安っぽいゴム底の靴を履いている人間はたまったもんじゃない。だって路面だけではなく、道という道、すべてスケートリンクなんだから、コンビニに入るのも道を渡るのも一苦労。

北海道人の分析

そんな状況でいかにして北海道人はてくてくと歩くのか。(本当にこの状況下で早足で歩けるのだ)ちょっとここで分析してみたいと思う。もしあなたが北海道に来てつるつる路面に挑もうとしたらこの4つのキーワードを覚えておいてほしい。

把握その1:路面状況の種類を把握する
これは基本中の基本。圧雪(滑りにくいが足が取られやすい)なのか、乾いているのか、濡れているのか、ブラックアイスバーン(濡れているように見えて凍っている)なのか。また、ざっくざくの歩きにくい雪なのか、ぎゅっぎゅっと鳴る締まった雪なのか、ぱさぱさの雪の下には氷が待ち構えているのか。これらの分類によって歩き方をかえる。歩きやすい状況であればずんずん行き、注意が必要な場所であれば、じっくり歩く。
把握その2:路面の角度を把握する
その1の高度パタン。ただし北海道人はほぼ確実にマスターしている。ピッチ(前後への傾き)は問題ないが、ロール(左右への傾き。"ヨー:左右のひねり"じゃないよ〜)が問題なのである。できる限りロールはさけなければならない。代表的なのは車庫前など歩道が車道部分に向かって斜めになっている場所。それ以外にもロードヒーティングの終わりや、多少のデコボコでも常にロール部分は避け、ピッチのみでやり過ごそうとするのである。
二歩目を確実に
北海道人だってコケル時はコケルのである。しかし転倒までは滅多にいかない。なぜなら一歩目が滑ったとしても、両手をばたつかせたり、体をひのらせるなどのアクロバティックな動きをし、2歩目を確実にとらえるからだ。ただし二歩目も滑ると確実に軽微な打撲が待っているのだが。
スパイク付きの靴を履く
あまり馴染みがないかもしれないが、小学生のときはきっとお世話になっていたはず。靴の裏に収納式の金属製スパイク(金属ではないものもあるらしい)が1つ(かかと側)か2つ(つま先側にも)ついているのである。べた雪(水分を含んだ雪のこと)の時はスパイクに雪がくっつきハイヒール状態になる上、室内に入るとカチカチっと音がするのが難点だが、スケートリンク状態の道路では絶大なパワーを発揮する。最近は子供だけに限らず、革靴や長靴にもついているので、ぜひ使ってみてほしい。


以上、極意をあげました。本当はあと一つ、"足の裏に神経を集中させ歩く"という技がある(これがあれば全速力で走ることだってできる)のだが、感覚的な問題であるため、どうしても教えるのに限界が出てしまうので今回はパスとした。

北海道に来てつるつる路面と鉢合わせになった時にはこの極意を思い出して実践してほしいと願うばかりです。